くすり手帳(以下、手帳)には大きく、患者さん自身が治療経緯を記録・管理することと、
医療者同士が治療上必要な情報(副作用歴、治療歴等)を共有・伝達するという2つの機能があります。
我々、医療者は手帳から今までどんな病気にかかって、どんな(薬物)治療をしているかを
把握するだけでなく、治療のうえで必要な体の状態や体質を推測することができます。
例えば、肝臓や腎臓の機能は薬の効き方や副作用の発現に大きな影響を与えるため、
それら機能が低下している方や、複数の薬を飲むときは注意が必要です。
また、感染症を繰り返している場合、過去に使った薬が治療のヒントになることも少なくありません。
今、出ている体の不調がまったく別の疾患の薬が原因のこともあります。
薬剤師はこれらを鑑み処方が適正かどうか判断、
問題があれば医師に確認し、安全と認めたもののみを患者さんにお渡ししています。
医療機関で医療情報を共有することは病院の検査や通院、薬の数を抑えることにもつながり、
安全かつ効率的に治療を進める助けになります。
東日本大震災後、災害で病院の診察が難しい場合、
手帳で継続的服用を確認できればどこの薬局でも同じ薬をもらうことができるようになりました。
くすり手帳はあなたの健康の助けになってくれるはずです。